FPVドローンとは?始め方から練習・撮影までを解説!初心者のための入門書

基礎知識

DJIAVATA2の登場で、今まで以上にFPVドローンが注目されています。

そんなFPVドローンの魅力はたくさんありますが、中でも、自由自在に飛び回れるアクロモードでの飛行映像は、目を引く素晴らしい映像ですよね!

真っ逆さまに急降下するような映像を見て、「FPVドローンをやってみたい!」と思った人も多いのではないでしょうか?

ゴーグルを付けて飛行させるだけなら、そんなに難しいことではありません。

ただし、自由自在に飛ばす為のアクロモードで飛行させようと思うと、相応の訓練が必要です。

この記事では、アクロモードでの飛行原理や訓練方法、AVATA2以外でFPVドローンをはじめる為のロードマップを紹介していきます。

FPVドローンの挑戦を考えている人は、ぜひ最後まで読んで、FPVドローンの素晴らしい世界へ飛び込みましょう!

この記事で解決される悩み

  • FPVドローンをはじめるまでのロードマップ
  • オススメのシミュレーター
  • アクロモードって何?
  • FPVドローンに必要な資格

目視はOPENをタップすると、目次が表示されます。

FPVドローンの始め方〜趣味と業務では違う〜

本格的にFPVドローンをはじめるには、いくつかのSTEPをクリアしないとけいません。

趣味で飛ばす場合と、業務で飛ばす場合と、分けて見てみましょう。

趣味でアナログ機を飛ばす場合

  1. プロポ(送信機)を買う
  2. シミュレーターで練習する
  3. アマチュア4級の無線従事者の資格を取る
  4. 機体を購入する
  5. VTXの系統図を入手する
  6. ゴーグルを買う
  7. 無線局の開局をする
  8. 機体とプロポをバインドする
  9. 飛ばす!!

なかなか長い道のりですね!

DJIAVATA2を使って始める場合、3,5,7,8が必要ないので、購入してすぐに飛ばすことができます。

ただし、アクロ(マニュアル)モードで飛ばす場合、シミュレーターでの訓練は必須です。

まずは、シミュレーターを使ってしっかり練習するところから始めましょう!

業務でアナログ機を飛ばす場合

  1. 開業する
  2. プロポ(送信機)を買う
  3. シミュレーターで練習する
  4. 第三種特殊無線技士の無線従事者の資格を取る
  5. 機体を購入する
  6. 技適番号を入手する
  7. ゴーグルを買う
  8. JUTMに加入する(年会費3万円)
  9. 無線局の開局をする
  10. 機体とプロポをバインドする
  11. 飛ばす!!

業務開局する場合は、開業していることとJUTMという団体に加盟することが条件として追加されます。

個人事業主の場合は開業届の添付が必要です。

趣味と業務の違いは理解しつつ、FPVドローンを始めるための必要なものを見ていきましょう!

シミュレーターで練習する

FPVドローンをはじめるのに、避けて通れないのがシミュレーターを使った飛行訓練です。

FPVドローンには、アクロモードという飛行方法があり、FPVドローンが自由自在に飛んでいるのはこのモードのおかげです。

通常のドローンとは操縦方法が異なりますので、しっかり練習しましょう!

シミュレーターの紹介

無料のものからドローンレーサーが使っている本格的なものまで、いろいろな種類がありますが、代表的なものをいくつか紹介します。

この記事で紹介するシュミレーターは、5つです。

  • LiftOff(リフトオフ)
  • LiftOff MicroDrones
  • Veloci drone(ベロシ)
  • TRYP FPV
  • TRYP FPV
  • DJI Virtual Flight

シミュレーターの説明は、下のタブや名前をタップすると見れるよ

参考元:STEAM Liftoff

レーサーも練習に使っているほどリアリティのあるもので、ドローンのカスタムや設定なども細かく調整ができます。

ゲームプラットフォーム【Steam】からインストールできるシミュレーターです。

価格:2,500円

参考元:Liftoff® Micro Drones

LiftOffのマイクロドローンに特化したものです。

小さい機体ならではの操作感がしっかり再現されていて、通常のドローンの操作と変わらないアングルモードでも練習になります!

価格:1,800円

参考元:VelociDrone

世界のレーサーが愛用しているシミュレーターです。

ユーザーによってコースが追加されていくので、実際のレースのコースが、多く再現されています。

マックのOSでも動作します。

価格:£16.99(約3,500円)

参考元:TRYP FPV

ステージの広さと綺麗な映像が体験できるシミュレーターです。

モトクロスやパラグライダー、鳥などを出現させて追い撮りの練習もできます。

比較的スペックの高いPCが必要です。

価格:1,900円

参考元:DJI Virtual Flight

この中で唯一、無料でプレイでき、スマホでも練習できるシミュレーターです。

DJIのアプリで、機体は、DJIFPVとDJIAVATAのみ選択できます。

価格:無料

シミュレーター購入時の注意点

DJI Virtual Flightはスマホでプレイする場合、プロポ(送信機)は必要ありません。

それ以外のLiftOff(リフトオフ)、LiftOff MicroDrones、Veloci drone、TRYP FPV、TRYP FPVは別途、DJIのプロポを購入する必要があります。

FPVドローンを飛ばす為にはどちらにしても必要なものなので、先に買っておいても問題ありません。

シミュレーターはそんなに高額ではないので、チャレンジしやすいと思います!

よりリアルな体験をしたいのであれば、LiftOffかVelociがオススメです。

プロポ(送信機)

シミュレーターでも必須になるのがプロポ(送信機)。

FPVドローンは、下記のものをそれぞれ準備する必要があります。

  • 機体
  • プロポ
  • バッテリー

ここでは代表的なプロポを紹介します。

シミュレーターの説明は、下のタブや名前をタップすると見れるよ

日本のメーカーの代表的な送信機。

日本語表記なので、設定も分かりやすいのが特徴です。

価格:約60,000円

引用元:Amazon

OpenTXを搭載し、様々な電波の形式に対応したマルチプロトコル送信機

英語表記なのが難点ですが、なんでも使えます。

価格:約35,000円

引用元:Amazon

こちらもOpenTXを搭載した送信機。

小型なので、小さい子供でも使いやすい形になっています。

価格:約13,000円

引用元:DJI

DJIAVATA2の送信機。

今後、AVATA2の購入を予定している人は、このプロポでも練習できます。

価格:17,600円

プロポは予算や今後の使用用途に合わせて購入しましょう!

アクロモードってなに?

よく聞くアクロモードとはどういうものかご存じでしょうか?

FPVドローンには以下のような操縦方法があります。

飛行モード水平維持機能傾きの限界
Angleアングル(ノーマル)ありあり
Horizonホライゾンあり無し
Acroアクロ (Air、M、マニュアル)無し無し

言葉と言葉の意味が、ちょっと難しいですね。

一つずつ具体的に紹介していきます!

基礎知識

操作方法について説明をする前に、基礎知識として操作の名称を覚えておきましょう!

呼称説明
ピッチドローンの前後方向の傾きのことを言います。
ロールドローンの左右方向の傾きのことを言います。
ヨードローンの旋回方向の操作のことを言います。
スロットルプロペラ全体の出力のことを言います。通常のドローンでは上下方向の動きをします。

通常のドローンでは、ピッチ操作でドローンが前後します。

一方、FPVドローンのアクロモードでは、ピッチ操作とスロットル操作の組み合わせで前進します。

これらの用語はFPVドローンの操作時に、頻繁に使われる用語ですので、覚えておきましょう。

Angle(アングル)モード

アングルモードとは、簡単に言うと通常のドローンと同じ制御の状態を言います。

スティックを離すと水平維持をしてその場で停止します。

ピッチ、ロール操作をしても一定の角度までしか傾かず、傾いた方向に進みます。

通常のドローンと同じ操作で飛行しますので、スロットル操作で高度の維持ができれば、簡単に飛ばすことができます!

Horizon(ホライゾン)モード

基本的にはAngleモードと変わらず、スティックを離すと水平維持をしてくれます。

ただし、ピッチ、ロール操作をした時、ドローンが一定の角度で止まらずにそのまま回転してしまいます。

素早く操作を行えば、縦方向や横方向へ一回転する動きができるということです。

スティックを離せば水平維持をしてくれるので、簡単なアクロバットな飛行ができるモードです。

Acro(アクロ)モード

アクロモードとは、水平維持機能もない状態のことを言います。

例えば、ロール操作で右に45°くらい傾けたとして、通常のドローンだとスティックを戻せばドローンは水平に戻りますが、アクロモードでは、スティックを戻しても45°の角度のままになっています。

元に戻すには、逆方向のロール操作を入れて、水平付近までドローンを傾けないといけません。

このように、全ての操作がマニュアルで行われるモードがアクロモードです。

真下を向いた状態も維持できるので、真っ逆さまに落ちていくような飛行が可能になります。

レースをする人や、海外のドローン映像などで自由に飛び回っているものは、このモードで飛ばしています。

アクロモードの操作方法

アクロモードの操作方法は通常のドローンと違います

基本的な操作だけではバックはしませんので、前進と旋回方法が分かれば、あとは練習次第で誰でも飛ばせるようになります。

前進の操作

アクロモードで前進する為には、ピッチとスロットルの同時操作が必要です。

アクロモードでは、揚力と推力のバランスを操作しなくてはいけません。

水平維持をしてホバリングしている状態を0とすると、前進しようとして前方向に機体を傾けると、揚力は前方向に分散してしまい、落ちるように前進します。

高度を維持したまま前進する為には、スロットルを開けないとその高度での揚力は維持されません。

旋回の操作

アクロモードで曲がる為には、ロールとヨーの同時操作が必要になります。

飛行スピード(飛んでいるドローンの角度)によってどちらの操作を強く入れないといけないかは変わってきますが、慣れですので、たくさん練習してください!

例えば、45°の角度でドローンが前進していた場合、ロール操作のみで左に曲がろうとすると、図のような動きをしてしまい、90°左に曲がった時には、機体が傾いてしまいます。

これをヨー操作でまっすぐに戻してあげる操作が加わるので、アクロモードで曲がる為には、ロールとヨーの2つの同時操作が必要になります。

前進している機体の傾きによって、ヨー操作の強さは変わってくるので、飛ばしながら見極める必要があります。

操作方法まとめ

基本操作は以上になりますが、アクロモードでの推力はあくまでスロットルになりますので、曲がりながらスロットルと抜いてしまうと、今まで進んでいた方向に推力が働いてしまって、うまく曲がれません。

操作感はシミュレーターで感覚を掴むしかありませんので、たくさん練習しましょう!!!

FPVドローンを飛ばす為の資格

FPVドローンは、ゴーグルに映像を送る為の電波に5GHz帯の電波を使います

日本では、5GHz帯の電波を使用する為には、以下のことが必要です。

  • 無線技士の免許を取得する
  • 無線局を開局する

趣味で使う場合と仕事として使う場合とで、それぞれ種類が異なります

どんな人が何の資格を取得すればいいのか、紹介していきます。

無線技士の種類と違い

無線の資格には以下の2つがあり、それぞれ特徴があります。

無線資格使用用途使用できる電波
アマチュア4級無線技士趣味で飛ばす場合5.8GHz
第三級特殊無線技士業務とし飛ばす場合5.7GHz

アマチュア無線では、業務としての使用ができませんので注意しましょう。

FPVドローンを使った映像撮影をする仕事をしたいという人は、第三級特殊無線技士(三陸特)の取得が必要です。

FPVドローンレースや趣味での撮影、フリースタイルで飛ばしたいという人はアマチュア4級無線技士(アマ4)を取得しましょう。

無線技士の資格を取る

まずは、上記した無線技士の資格を取得する必要があります。

取得方法は以下の3つです。

  • 学科試験に合格する
  • Eラーニングで取得する
  • 講習で取得する

費用的には学科試験で合格する方法が一番安価ですが、自分で勉強しないといけないので難易度は上がります。

Eラーニングと講習は、どちらも大きな差はないので、自宅でも集中できる人はEラーニングがおすすめです。

無線局を開局する

5GHz帯の電波を使う為には、無線局の開局が必要です。

開局については、総務省の電波利用ホームページ(https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/proc/)に方法が記載されています。

  • アマチュアの場合 → アマチュア局
  • 業務の場合 → 携帯局

という種類で開局します。

合わせて、電波利用料や申請手数料なども発生します。

FPVドローンを飛ばす為の備品

FPVドローンは、セット販売されているものも一部ありますが、基本的には、各備品を自分で用意する必要があります。

また、全てが同じ規格で統一されていないので、それぞれの知識と確認が必要です。

各備品についての注意点を理解して、失敗しないようにしましょう。

機体を用意する

自分で1から作成することも可能ですが、はじめは完成機を購入するのがおすすめです。

完成機を購入する場合は、以下の点を確認しましょう。

  • 機体サイズ
  • バッテリーの種類(セル数)
  • 使用しているプロトコル(電波の規格)

特に、プロトコルはしっかり確認する必要があります。

例えば、ELRSというプロトコルは、送信機とバージョンが合っていないとバインドできません。

バージョンは書き換えができますが、バージョンを落とすことができないものもあるので、よく調べましょう!

VTXについて解説

映像電波を発信する装置ことをVTXと言います。

このVTXが5GHz帯の電波を発信しているので、無線技士の資格が必要で、無線局の開局も必要ということです。

日本では技適という認証を受けていない電波装置は使用が禁止されています

そして、アナログの完成機のほとんどは技適がとれていないVTXを使用しているので、技適の代わりに、保証を受ける必要があります。

その保証を受けるには、VTXの系統図というものが必要です。

ややこしいですね

とにかく、機体を購入する際は、VTXの系統図を入手するということを覚えておきましょう。

総務省のHPに系統図のテンプレートがあるので、電波に詳しい人であれば系統図は自分で作成することもできます!

ゴーグルを購入する時の注意点

映像電波を受信する為のゴーゴルも購入する必要があります。

ゴーグルを購入する際も、以下の点に注意が必要です。

  • 受信機は付いているか
  • アンテナは付いているか
  • バッテリーは付いているか

例えば、有名なFATSHARKというメーカーのゴーグルだと、バッテリーは付いていますが、受信機が付いていないので、別途購入する必要があります。

反対にSKYZONEというメーカーのゴーグルは、受信機は内蔵されていますが、バッテリーが付いていません。

  • 映像を映すゴーグル
  • 電波を受信する受信機とアンテナ
  • バッテリー

これらがあって初めてドローンの映像がゴーグルに映し出されますので、よく確認しましょう。

その他備品

その他、以下のような備品が必要になりますので、各備品に合ったものを選定しましょう。

バッテリー機体によって2S、3Sとバッテリーのセル数(S)が異なる
バッテリーケース不燃性のものを使用
充電器バッテリーのコネクタの形状やバッテリーの種類に対応しているか
PC ドローンの設定に使うPC。Windowsがおすすめ
USBケーブルドローンとPCをつなぐケーブル。データ転送用。

そのほかFPVドローンでよく使う言葉の解説

FPVドローンのことを調べていると、そのほかにもいろいろな言葉を目にします。

よく出てくる言葉を紹介しておきますので、参考にしてみてください。

アナログとデジタルの違い

アナログか、デジタルかという言葉もよく出てきます。

主な違いは、ゴーグルに映し出される映像です。

アナログ電波では、ザーザーと、ノイズが入ったような映像になってしまうのに対して、

デジタルでは、TVに映るようなクリアな映像になります。

これだけ聞くとデジタルの方が良いと思いますが、デジタルは使える機材が少ないのが現状です。

デジタルで使えるゴーグル(技適のあるもの)は、2024年6月時点では、DJIGogglesV1というものしかなく、これも販売中止となっているので入手困難なものになっています。

映像電波を発信するVTXも、デジタルのものはDJIAirUnitしかなく、5.7GHzなのでアマ4では使えません。

映像系の仕事で使う場合は、デジタルの方が有利と言えますが、使えるものが少ないので、アナログが主流となっています。

U99

U99とは、100g未満のものを言い、航空法の適用外なので、どこでも飛ばせるのが特徴です。

※小型無人機飛行禁止法に注意【小型無人機飛行禁止法

基本的には、ドローンが飛行に必要なものだけで総重量を計るので、取り外しが可能な外付けのGoProなどは重量から除外できます

撮影可能なU99機は自作するのがメインですが、稀に完成機を販売してくれている人もいますので、見つけたらチャンスですね!

サイズ表記

65、75、●●インチなど、聞くこともありますが、これらはドローンのサイズを示しています。

65や75というのは、モーターの対角線上の長さを表しています。

●●インチというのは、プロペラの長さを表しています。

タイニードローンレースで使われているのは、65サイズの小さいものが多く、大きいサイズのドローンレースでは5インチサイズが主流です。

AVATA2

AVATA2はDJIから発売されたFPVドローンで3インチクラスの大きさとなっています。

発売当初から騒がれていましたが、AVATA2の何がすごいのかというと、5GHz帯の電波を使わないのに、遅延が少ない映像伝送ができるという点です。

5GHz帯を使わないということは、面倒な無線技士の資格と無線局の開局が必要ありませんので、誰でも簡単に始められます。

機体、バッテリー、ゴーグルなど、必要なものはすべて揃っているので、航空法さえ守れば誰でもすぐに飛ばせます。

GoProを積まなくても高画質な映像撮影もできますので、FPVドローンの参入障壁が一気に下がりました。

AVATA2について詳しく知りたい人はこちらの記事を読んでみて下さい。

FPVドローンの初め方まとめ

FPVドローンをはじめるには、多くのステップを踏まないといけません。

操縦技術を習得するには、シミュレーター100時間とよく言われています。

レースなどをやりたいという人は、無線の資格取得などは必須なので、練習しながらチャレンジしてみてください。

撮影をしたいという人はAVATA2がオススメです!

FPVをはじめるなら、絶対にアクロモードでの飛行は習得してもらいたいと思います。

自由自在に飛び回れる感覚は、他のドローンでは絶対に味わえない、最高のものです!

今後もドローン国家資格に関する情報や、ドローンに関する有益情報を発信していくので、ブックマークしておいていただければ幸いです。

to-top