ドローン 運動会上空の飛行は可能?特定飛行の許可申請と注意点を紹介
まだ日中の暑い日が続きますが、運動会シーズンが始まりましたね。
イベント上空の撮影依頼や「運動会の上空をドローンで撮影してみようかな?」と考えている人もいるのではないでしょうか?
そのような時期になると、「参加者に説明したから、イベント上空じゃなくなる」なんて会話を耳にすることがありますが、それで本当に大丈夫でしょうか?
法律は、解釈次第でなんとでも言い訳が可能です。
しかし、イベント上空に関しても、言葉ひとつひとつに、明確に定義されてます。
またイベント上空の飛行が、禁止されている理由がわかれば対策も可能です。
今回は、航空局の解釈や、申請に必要な手順などを紹介していきます。
安全対策など、その他の申請時にも役立つことがありますので、必ず最後まで読んで航空法について学んでください。
この記事で解決される悩み
- イベント上空ってなに?
- 第三者とはってなに?
- 関係者ってなに?
- イベント上空の許可に必要なこと
少し難しい点もありますが、イベント上空での飛行はできます。
挑戦してみましょう。
- 1. 特定飛行についての理解が必要
- 1.1. 禁止されている方法と空域
- 1.2. 特定飛行に必要なもの
- 2. イベント上空の飛行とは、航空法で定義されている
- 2.1. イベント上空の定義
- 2.2. イベント上空が禁止されている理由
- 2.3. イベント上空に該当する具体例
- 2.4. その他
- 3. 第三者、関係者とは、違いを理解しましょう
- 3.1. 第三者とは、関与していない人
- 3.2. 関係者・関節関与者は、飛行目的を理解している
- 4. 立入管理措置とは、安全確保の施策
- 4.1. 補助者の配置
- 4.2. 立入管理区画
- 4.3. 立入禁止区域
- 5. イベント上空の許可申請
- 5.1. 許可の要件
- 5.2. 空域図の作成
- 5.3. 具体的な安全対策の記載
- 5.4. DIPS2.0での申請手順
- 6. まとめ
*目次は、OPENをタップすると、開きます。
特定飛行についての理解が必要
イベント上空での飛行も、特定飛行についての理解が前提条件として必要です。
ここでは特定飛行の解説を簡単に紹介します。
ドローンには航空法で禁止されている飛行の方法と空域があります。
これらの飛行を総じて「特定飛行」と呼びます。
特定飛行については理解があり、イベント上空での飛行について知りたい人はこちらをクリック。
記事内のイベント上空の解説箇所に移動します。
禁止されている方法と空域
航空法で禁止されている飛行の方法と空域は以下の通りです。
これらの方法及び空域で飛行させたい場合、航空局からの飛行許可を取得しなければいけません。
今回はこの中のイベント上空の飛行の飛行許可について、詳しく解説していきます。
特定飛行に必要なもの
特定飛行を行う場合は、以下のことが必要になります。
- 飛行許可書の携帯
- 飛行マニュアルの遵守
- 飛行通報
- 飛行日誌の作成
特定飛行について、詳しく学びたい人はこちらの記事をご覧ください。
▶あなたはちゃんと理解できている?ドローン飛行レベルとカテゴリーについて徹底解説!
イベント上空の飛行とは、航空法で定義されている
航空法では、飛行の方法の一つとして、以下のように記載されています。
航空法第132条の86第2項第4号
祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
つまり航空法には「イベント上空以外で飛行しなさい」と記載されています。
では、具体的に「イベント上空」はどのような状態を示すのでしょうか?
ここでは、イベント上空の内容について紹介していきます。
少し難しいですが、基本的な知識です。
正しく理解できるように熟読してください!
イベント上空の定義
イベント上空の定義は、航空局のQ&Aに記載されている内容を一部抜粋します。
- 特定の場所で開催されるもの
- 特定の日時で開催されるもの
- 一度に数十人が集合するもの
これらがイベント上空として、航空局にて定義がされています。
まずは、予定している飛行計画が、上記に当てはまるのかどうかで判断してみてください。
運動会やお祭りなどは、100%該当しちゃいます
イベント上空が禁止されている理由
イベント上空が禁止されている理由は、安全の確保です。
航空局のQ&Aには以下のように記載されています。
イベント上空での飛行
無人航空機を飛行させた場合に故障等により落下すれば、人に危害を及ぼす可能性が高い。
どのような場合が「多数の者の集合する催し」に該当するかについては、催し場所上空において無人航空機が落下することにより地上の人に危害を及ぼすことを防止するという趣旨に照らし、集合する者の人数や密度だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうか、また、主催者の意図等も勘案して総合的に判断される。
大事なのは、「判断される」という部分です。
法律は個人で判断するものではないので、迷ったら航空局の判断をあおぎましょう!
イベント上空に該当する具体例
次に、Q&Aに記載されている具体例を紹介します。
該当する例
航空法第132条の86第2項第4号に明示されている祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、 スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート、町内会の盆踊り大会、デモ(示威行為) 等
該当しない例
自然発生的なもの(例えば、混雑による人混み、信号待ち 等)
これらは、Q&Aに明記されていますので、飛行計画をしている人は注意しましょう。
ここで明記されていることで、イベント上空としてではなく、全てを関係者として飛行させたい場合は、必要な措置を行った上で航空局に判断してもらいましょう。
この後、関係者の定義などについて紹介していきます。
その他
その他、イベント上空に該当するかというのは、「第三者の上空かどうか」ということも関係します。
例えば、映画の撮影など、特定の日時に、多数のものが集まったとしても、その全てが飛行に関する関係者だった場合はイベント上空には該当しません。
第三者を関係者にできれば、「イベント上空に該当しなくなる」と考える人がいますが、あくまで航空局がどのように判断するかがポイントです。
個人で判断しないように注意しましょう。
第三者、関係者とは、違いを理解しましょう
イベント上空でのドローンの飛行について調べると、下記2つの言葉が必ず出てきます。
- 第三者
- 関係者
あなたはこれらの定義や違いを、明確に答えられますか?
第三者なのか?関係者なのか?で、許可申請の内容が変わってきます。
定義や違いを正しく理解しておきましょう。
第三者とは、関与していない人
航空法における第三者とは、以下のように定義されています。
無人航空機の飛行に直接、又は間接的に関与していない者。
これが、第三者です!
つまり、飛行に関わっているか関わっていないが問題ですが、「間接的に」とはどのような状態を指すのか分かりませんね。
- 「ドローンが飛ぶことを知っていればいいんでしょ」
- 「名簿を作ってサインしてもらったから関係者になる」
という声を聞きますが、決して簡単なものではありません。
関係者についても、明記されていますので覚えておきましょう。
関係者・関節関与者は、飛行目的を理解している
「第三者には該当しない」と明記されている内容を簡単に紹介します。
関係者
直接関与している者とは、操縦者と操縦する可能性のある人、又は補助者など、ドローンの飛行の安全確保に必要な要員。
間接的関与者
間接的に関与している者とは、飛行目的について関係者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者。
- 操縦者が、間接的関与者についてドローンの飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
- 間接的関与者が、操縦者からドローンの飛行時に予定と違う事態が発生した時に、従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。
- 間接的関与者は上記指示と安全上の注意に従うことが期待され、操縦者は、指示と安全上の注意が間接的関与者に適切に理解されていることを確認する必要がある。
- 間接的関与者が、ドローンの飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。
できるだけ分かりやすい言葉に置き換えましたが、難しいですね。
「第三者を関係者にするとイベント上空での飛行が可能になる」と言う人が一部、存在します。
しかし、第三者を関係者にするには、以下のような対応が必要だと考えられます。
- 操縦者が、対象者を関係者(被写体など)と判断している。
- 緊急事態発生時の指示と安全対策について明記し、全員に説明し、操縦者がそれを理解していることを確認する。
- 飛行目的に関与するか決定してもらう。
これらを明示して航空局に判断してもらわないといけません。
少人数なら可能ですが、大勢の人を関係者するには、なかなか難しいことが分かったのではないでしょうか?
立入管理措置とは、安全確保の施策
ドローンの許可申請をしていると、立入管理措置という言葉がでてきますが、あなたはしっかり理解できているでしょうか?
立入管理措置とは主に次の3つのことを言います。
- 補助者の配置
- 立入管理区画の設定
- 立入禁止区域の設定
それぞれどういったことなのか紹介していきます。
補助者の配置
補助者とは、操縦者の他に安全を確保する為の人員のことです。
特定飛行を行う為には、基本的には補助者の配置が必要ですので、補助者の役割についても覚えておきましょう。
補助者の役割
補助者は、飛行範囲に第三者が立ち入らないよう注意喚起を行う。
7)補助者は、飛行経路全体を見渡せる位置において、無人航空機の飛行状況及び
周囲の気象状況の変化等を常に監視し、操縦者が安全に飛行させることができる
よう必要な助言を行う。
これは、飛行マニュアルに記載されていることなので、確認してみて下さい。
立入管理区画
立入管理区画とは、第三者が飛行経路内への立ち入りを防ぐ為の措置の全般を言います。
立入管理措置を行い、第三者の立入りを確実に制限することができる場合は、補助者の配置に代えることができるます。
立入管理区画
塀やフェンス等を設置することや、第三者の立入りを制限する旨の看板やコーン等を飛行範囲や周辺環境に応じて設置することにより立入管理区画を明示する。
立入禁止区域
立入禁止区域とはイベント上空の飛行時に適用されるもので、第三者が飛行経路内に立ち入らないようにするという点では、立入管理区画と同様です。
ただし、立入禁止区域には飛行高度に合わせた立入禁止区域が明確に定められています。
立入禁止区域
イベント上空の飛行時に適用されるもので、第三者の立入りを禁止する区画距離を飛行の高度に基づいて明確に定められています。
飛行高度 | 立入禁止区画 |
20m未満 | 飛行範囲の外周から30m以内の範囲 |
20m以上50m未満 | 飛行範囲の外周から40m以内の範囲 |
50m以上100m未満 | 飛行範囲の外周から60m以内の範囲 |
100m以上150m未満 | 飛行範囲の外周から70m以内の範囲 |
立入管理措置、立入管理区画、立入禁止区域とそれぞれ言葉は似ていますが、内容は異なりますので、覚えておきましょう。
イベント上空の許可申請
ここからは、イベント上空の飛行許可申請に必要なことを紹介していきます。
必要なことが分かれば、判断も対策もしやすくなります。
イベント上空の許可の要件についても紹介しますので、しっかり読んでチャレンジしてみてください!
許可の要件
イベント上空の飛行には、以下の安全対策と遵守事項があります。
- 補助者の配置
- プロペラガードの装備
- 飛行高度に合わせた立入禁止区域の設
- 空域図の作成
- 具体的な安全対策を記載
- 風速5m/s以上の場合は飛行を行わない。
- 飛行速度と風速の和が7m/s以上になる場合は飛行を行わない。
③の「立入禁止区域」ついては、よく聞く「立入管理措置」とは別物ですので注意しましょう。
分かりにくい④、⑤の項目について詳しく紹介していきます。
空域図の作成
イベント上空の飛行の許可申請時には、飛行経路や立入禁止区域を明示しなくてはいけません。
次の図が、国土交通省HPにある記載例です。
空域図は、DIPS上で作成してもいいですし、他のソフトで作成した空域図を添付する形でも申請が可能です。
イラストレーターなどのソフトが無い場合は、国土地理院地図がおすすめ。
様々なツールがありますので、ネット上で空域図の作成が可能です。
飛行高度に合わせた立入禁止区域と補助者の配置を考えて作成してみてください。
具体的な安全対策の記載
申請時には、特記事項に具体的な安全対策について記載する必要があります。
例
- 立入禁止区画内の建物内の人に対して、飛行前に補助者が周知、注意喚起を行う。
- 飛行中も建物に人の出入りが無いように監視する。
- 第三者が立ち入りそうになった時には、ただちに飛行を中止する。
など
イベント上空の飛行については、その他の禁止されている飛行同様に、安全対策がどれだけされているかがポイントとなります。
仮に事故などがあれば、多数の人に被害が及ぶ可能性が高い飛行となるので、安全性をどのように担保するかという観点で考えると、申請も通りやすくなるでしょう。
DIPS2.0での申請手順
申請手順がわかるように、実際にDIPS2.0の入力画面を説明に使っています。
イベント上空での飛行を計画している人は、一緒に項目を入力していきましょう。
イベント上空の申請ですが、途中まで通常の飛行申請を同じ流れです。
飛行空域の選択
今回はイベント上空の申請なので、「催し場所上空」にチェックをいれます。
必要に応じて、その他の場所にもチェックを入れてください。
リスク管理について
イベント上空の申請時は、「補助者を配置する」と「立入禁止区画を設定する」にチェックを入れます。
飛行高度の入力
イベント上空の飛行は、飛行高度に応じて立入禁止区画の半径が決まっているので、最大飛行高度を指定する必要があります。
飛行の内容を入力
- 催し名称
- 主催者等名
- 調整結果
を入力します。
調整結果には、安全面についての調整結果を記載してください。
日時の記載
イベント上空の場合は、飛行日時を具体的に記載します。
飛行場所を指定する
イベント上空は、特定の場所経路で飛行します。
【次へ】を押して、飛行場所の住所と飛行経路図を作成します。
ここで作成する飛行経路図は、大まかなもので大丈夫です。
後に、詳細を記した地図を添付します。
機体情報と操縦者情報を入力
適合基準を満たさない場合は、追加基準を作成します。
イベント上空の飛行は、プロペラガードを装備する必要があるので、写真を添付してください。
飛行マニュアルの選択
標準マニュアルを使用する場合、個別申請時は、「航空局標準マニュアル01 」を添付してください。
航空局標準マニュアル02では、催し物上空の記載が無いので注意が必要です。
保険の入力
もしもの時の為に、保険には加入しておきましょう!
保険に入っていない人は、保険選びに迷っている人はこちらの記事も参考にしてみてください。
特記事項
特記事項には「具体的な安全対策」を記載します。
安全対策は、審査のポイントですので、しっかり対策を行って記載しましょう。
添付ファイル
ここで、具体的な経路図を添付します。
先ほど紹介した空域図の作成を参考に補助者の配置、飛行経路、禁止区域などを明確にします。
申請
内容を確認して申請します。
お疲れ様でした!
イベント申請は補正指示がある前提で、できるだけ余裕をもって申請しましょう。
補正指示内容も細かく記載してくれるので、指示に従って飛行計画の準備を進めると良いです。
まとめ
イベント上空の飛行許可は、その時々によって判断が変わります。
できるだけ早めに申請を出して、補正指示に合わせて飛行計画を考えるとスムーズです!
イベント上空は危険性の高い飛行なので、許可申請も、実際の飛行も難易度の高いものとなります。
許可申請を自分で行うことで、はじめて安全対策について深く理解できると思いますので、チャンスがあったらぜひチャレンジしてみてください。
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