ドローン撮影の許可申請で絶対に知っておきたい8つのポイント

ドローンの許可申請は、正しい手順とポイントさえ押さえれば、決して難しくありません。
しかし、必要な許可の種類や申請先を理解しないままでは、法律違反のリスクやトラブルを招く可能性があります。
この記事では、国や土地の管理者から許可を得るために絶対に知っておくべき、以下の8つのポイントを具体的に解説します。
- 飛行許可と撮影許可の2種類が必要
- 時間に余裕を持った撮影準備
- 具体的な飛行ルートの想定
- 離発着場所の状態確認
- 撮影日時の賢い設定(人出・太陽の位置・予備日)
- 管理者不明時の役所への問い合わせ
- 海上飛行でも必要な離発着場所の許可
- ドローン撮影に関わる様々な法律
この記事を最後まで読めば、許可申請に関するあなたの不安は解消され、「思ったより簡単だ」と感じられるようになるはずです。
一つずつ確認し、安全なドローン撮影の第一歩を踏み出しましょう。
- 1. ドローン撮影における許可の必要性
- 2. ドローン撮影に必要な2種類の許可
- 2.1. 航空法に基づく飛行許可・承認
- 2.2. 土地の管理者等から得る撮影許可
- 3. 撮影許可の取得にかかる所要時間
- 3.1.1. 【最短:数日〜1週間】相手が「個人」の場合
- 3.1.2. 【標準:2週間〜1ヶ月】相手が「地方自治体・法人」の場合
- 3.1.3. 【最長:1ヶ月以上】相手が「国・特殊法人」の場合
- 4. 撮影許可を取得する5つのステップ
- 4.1. ステップ1. 飛行計画を具体化する
- 4.2. ステップ2. 離発着場所を調査・確保する
- 4.3. ステップ3:撮影日時を戦略的に調整する
- 4.4. ステップ4. 土地の管理者を特定する
- 4.4.1. 観光地や公園
- 4.4.2. 個人所有の土地
- 4.4.3. 公的な土地
- 4.5. ステップ5. 管理者へ連絡し、許可を取得する
- 5. 無許可撮影で発生する4つの重大リスク
- 5.1. 保険が適用されず、数千万円の賠償金を自己負担
- 5.2. リスク2. 【前科】「不法侵入罪」で逮捕される
- 5.3. リスク3.【泥沼の訴訟】プライバシー・肖像権の侵害
- 5.4. リスク4. 【社会的信用の失墜】条例違反による摘発
- 6. まとめ:許可申請を「武器」に変える最終確認リスト
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ドローン撮影における許可の必要性

「ドローンで、あの美しい景色を撮ってみたい」――その思いを実現するために、最初にクリアすべき最も重要なハードルが「許可」です。
結論から言えば、屋外でのドローン撮影に許可は絶対に必要です。
これは、あなたを不必要に縛るためのルールではありません。
あなた自身と、第三者の安全、そしてプライバシーを守り、ドローンと社会が共存するために不可欠な“約束事”なのです。
もし無許可で飛行させれば、法律違反による罰則だけでなく、万が一の事故の際に誰にも補償できないという最悪の事態を招きかねません。
しかし、心配は不要です。
ドローン撮影に必要な許可は大きく分けて2種類あり、その内容と手順を正しく理解すれば、誰でも安全にドローンを飛ばすことができます。

まずその「許可の全体像」を掴んでいきましょう。
ドローン撮影に必要な2種類の許可
「ドローンの許可」と聞くと、多くの人が一つの手続きを想像しがちです。
実はここが最初の落とし穴です。
ドローンを飛ばすためには、目的も相手も全く異なる「2種類の許可」が両方必要になります。
- 空のルール(航空法関係)
- 土地のルール(管理者関係)
という2つの関門をクリアするイメージで捉えましょう。
どちらか一方だけでは、決して安全にドローンを飛ばすことはできません。

この章で、それぞれの許可の役割と重要性を完全に理解してくださいね
航空法に基づく飛行許可・承認
1つ目は、空の交通ルールである「航空法」に関する許可です。
これは、ドローンや飛行機、そして地上にいる人々すべての安全を守るためのもので、申請相手は国(国土交通省)となります。
具体的には、法律で定められた特定の「場所」や「方法」で飛行する場合に、国からの許可や承認が必要になります。
【許可】飛行エリア(場所)に対する許可
空港周辺や人口集中地区(DID)など、特に安全確保が求められる場所で飛行する場合に必要です。
【承認】飛行方法(やり方)に対する承認
夜間飛行や目視外飛行など、リスクが高まる方法で飛行する場合に必要です。
つまり、公の安全を守るために国が定めたルールが、この「飛行許可・承認」なのです。
※これらの許可・承認を効率的にまとめて取得できる「包括申請」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎【画像解説】ドローン包括申請で飛行許可を楽々取得!メリット&申請のコツ
土地の管理者等から得る撮影許可
二つ目は、土地の権利に関する許可です。
どんな土地にも必ず所有者や管理者がおり、許可を得る相手は彼らになります。
少し想像してみてください。
もし、あなたの家の真上で見知らぬドローンが許可なく飛んでいたら、どう感じますか?
たとえ航空法を守っていても、他人の土地の上を無断で飛行すれば、それは財産権やプライバシーの侵害にあたります。
ドローンを離発着させる地面、そしてその真上の空間は、あなたが思っている以上に、個人の権利が強く及ぶ場所なのです。
公園、河川、山林、あるいは個人の所有地。
全ての土地には管理者がいます。
その人たちから「ここで飛ばしても良いですよ」という許可を得て、はじめてドローンは安心して飛ばせることができるのです。
撮影許可の取得にかかる所要時間
撮影許可は、一体どれくらい前に申請すればいいのか?」
これは、撮影計画を立てる上で最も重要な問いです。
結論から言えば、その所要時間は「許可を出す相手」によって、数日で済む場合もあれば、1ヶ月以上かかる場合もあります。
「ギリギリで大丈夫だろう」という安易な考えは、計画そのものを頓挫させる最も危険なリスクです。
ここでは、許可を出す相手別に、現実的な所要時間の目安を解説します。
【最短:数日〜1週間】相手が「個人」の場合
個人の所有する土地(田畑、山林、空き地など)の場合、所有者と直接連絡が取れれば、話が早く進むケースがあります。
承諾の可否がその場で決まることも少なくありません。
ただし、最大の難関は「所有者を特定する」こと自体に時間がかかる可能性がある点です。
【標準:2週間〜1ヶ月】相手が「地方自治体・法人」の場合
市や区が管理する公園、公立の施設、あるいは一般企業が所有する土地などがこれにあたります。
多くの場合、申請には指定の書類提出が必須です。
そのため、担当部署内での確認や決裁に時間を要します。
特に初めての申請の場合、2週間〜1ヶ月を見ておくのが現実的なスケジュールです。
【最長:1ヶ月以上】相手が「国・特殊法人」の場合
国立公園(環境省)、一級河川(国土交通省)、港湾、空港など、国の機関や特殊法人が管理する場所は、最も時間が必要です。
複数の省庁にまたがる確認や、法律に基づいた厳格な審査が行われるため、申請から許可まで1ヶ月以上かかることも珍しくありません。
これらの場所での撮影は、極めて早い段階からの準備が不可欠です。
ポイント
撮影場所がどこであれ、最低でも「撮影日の1ヶ月前」には許可取得の準備を開始する。
これが、不測の事態に対応し、確実に許可を得るためのプロフェッショナルとしての絶対基準です。
「電話一本で済めば幸運」くらいに考え、常に最長のケースを想定して行動してください。
撮影許可を取得する5つのステップ

土地の管理者から撮影許可を得るプロセスは、闇雲に進めても成功しません。
ここからは、弊社Tech Droneが実践している、プロジェクトを成功に導くための5つのステップを具体的に解説します。
この手順通りに進めれば、あなたの許可取得率は格段に向上するでしょう。
ステップ1. 飛行計画を具体化する
まず、頭の中のイメージを具体的な「計画」に落とし込みます。
Googleマップや航空写真を使い、撮影したい対象物に対して、どの方向から、どのくらいの高度でドローンを飛行させるのか、明確なルートを定めてください。
この段階で重要なのは、ただルートを引くだけでなく、電線や樹木、周辺の建物といった障害物の有無まで徹底的に洗い出すことです。
この後のステップの精度は、ここでの計画の緻密さに懸かっています。
ポイント
この時点で、国土地理院の「地理院地図」で、撮影候補地が人口集中地区(DID)に該当しないかを確認しておきましょう。
後の航空法申請の要否判断に直結します。
ステップ2. 離発着場所を調査・確保する
次に、ドローンを安全に離着陸させるための「離着陸地点」となる場所を決定します。
最も理想的なのは、撮影前に現地を下見することです。
それが難しい場合でも、Googleマップのストリートビューなどを活用し、以下の点を必ず確認してください。
- 第三者の立ち入る可能性が低いか
- 周囲に十分な空間があり、障害物がないか
- 地面は平坦で、プロペラが巻き込む砂や草がないか
特に、地面が砂地や草地の場合は、モーターへの異物混入やプロペラの破損に繋がる重大なリスクとなります。
障害物が離着陸地点の30m以内にある場合は、航空法違反に触れる可能性もあります。
ドローンのサイズに合った「ランディングパッド」を必ず用意してください。
ポイント
万が一の強風や電波障害に備え、メインの離発着場所以外に、緊急着陸できる第二、第三の候補地も想定しておくと、現場での安全性が飛躍的に高まります。
ステップ3:撮影日時を戦略的に調整する
許可の取りやすさは、撮影の日時によって大きく左右されます。
特に観光地など人の集まる場所では、平日の早朝など、人出が最も少ない時間帯を狙うのが鉄則です。
また、ドローン撮影は天候に大きく依存します。
雨や強風で撮影が中止になる可能性を常に考慮し、必ず複数の予備日を設定して許可申請を行いましょう。
ポイント
美しい映像を撮るには、太陽の位置が極めて重要です。
アプリ「Sun Seeker」や「日の出、日の入り 」などを使えば、撮影日時の太陽の軌道を正確に予測でき、逆光を避けた最適な撮影計画を立てられます。
ステップ4. 土地の管理者を特定する
計画が固まったら、いよいよ許可申請の相手となる土地の管理者を特定します。
多くの場合、以下の方法で特定が可能です。
観光地や公園
名称で検索し、公式サイトを確認。
不明な場合は、その地域を管轄する市役所の「観光課」や「公園緑地課」に電話で問い合わせるのが最も確実です。
多くの公園が条例で飛行が禁止されている場合が多いです。
個人所有の土地
付近の住人への聞き込みや、法務局で登記情報を調べることで特定できる場合があります。
公的な土地
海、川、山などは、管理者が細かく分かれています。
以下の表を参考に、適切な機関を特定してください。
土地の種類 | 主な管理者 |
港湾内の海 | 港湾管理者 (都道府県、市町村の港湾課など) |
一級河川 | 国土交通省 (地方整備局) |
二級河川 | 都道府県 |
国有林 | 農林水産省 (林野庁) |
ポイント
市役所などに電話する際は、「ドローンの撮影許可についてお伺いしたいのですが、担当部署はどちらになりますか?」
と最初に明確に伝えましょう。
これにより、部署間のたらい回しを防ぎ、スムーズに担当者へ繋がります。
ステップ5. 管理者へ連絡し、許可を取得する
管理者と連絡が取れたら、計画内容を正確に伝え、撮影の許可を申請します。
その際、以下の3点は明確に答えられるよう準備しておきましょう。
- 飛行させる具体的な場所(地図で示す)
- 離発着させる場所
- 撮影の目的(趣味か、業務か)
特に、撮影した映像をSNSやYouTubeに投稿し、少しでも収益化する可能性がある場合は「業務」として扱われることが一般的です。
正直に伝え、相手方の指示に従ってください。
許可が得られたら、その内容(許可の条件、連絡先、担当者名)を必ず書面やメールで記録に残しておきましょう。
ここで土地の一時使用届や飛行計画書の提出が求められるので、作成も必要です。
ポイント
管理者によっては、口頭での許可に不安を感じる場合があります。
飛行日時、場所、目的、安全対策などを簡潔にまとめた「飛行計画書(1枚)」を事前に用意して提出すると、
相手に安心感を与え、交渉を円滑に進めることができます。
無許可撮影で発生する4つの重大リスク

- 「少しくらいなら…」
- 「誰も見ていないから…」
その軽い気持ちが、あなたのドローンライフを、そして場合によっては人生そのものを台無しにする可能性があります。
無許可撮影は、単なるルール違反ではありません。
それは、「借金」「前科」「訴訟」「社会的信用の失墜」という、現実的なリスクを背負う行為です。
ここでは、無許可撮影が招く4つの重大な結末を、具体的なシナリオと共に解説します。
保険が適用されず、数千万円の賠償金を自己負担
実際にあった事故
操作を誤り、付近にあった第三者の建屋に衝突、建屋の窓ガラス及び外壁が損傷した。
修理費は数十万円に。
「ドローン保険に入っているから大丈夫」…ではありません。
保険契約の約款には、多くの場合「法令を遵守して使用した場合に限る」という一文が記載されています。
つまり、必要な許可を得ていない状態での事故は「契約違反」とみなされ、保険金は1円も支払われない可能性が極めて高いのです。
対物・対人の事故を起こせば、あなたは莫大な損害賠償金を、全て自己資金で支払うことになります。
リスク2. 【前科】「不法侵入罪」で逮捕される
シナリオ
誰もいない美しい山林で、絶景を撮影。後日、警察から連絡が…。
あなたが「ただの空」だと思っている場所も、その土地は必ず誰かのものです。
土地の所有権は上空(民法上300mまで)に及びます。
許可なく他人の土地の上空を飛行させる行為は、刑法第130条「住居侵入等罪」に問われる可能性があります。
これにより、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されれば、あなたには「前科」がつくことになります。
不法侵入罪とは?
正当な理由なく、他人の住居や建造物、または管理されている土地などに侵入する行為を指します(刑法第130条)
リスク3.【泥沼の訴訟】プライバシー・肖像権の侵害
シナリオ
街の風景を撮影しYouTubeにアップ。
数日後、弁護士から内容証明郵便が届く。
あなたの映像に映り込んだ「モノ」や「人」には、法律で保護された権利が存在します。
特に注意すべきは、以下の3つの「見えざる権利」です。
権利の種類 | 保護する対象 | 侵害となるケースの例 |
プライバシー権 | 個人の私生活 | 他人の家の窓から室内が映り込む、洗濯物が干してある様子を公開する |
肖像権 | 個人の容姿 | 個人の顔が識別できる状態で無断で撮影・公開する |
個人情報保護法 | 特定の個人情報 | 表札や車のナンバープレートが読み取れる映像を公開する |
これらの権利を侵害した場合、被害者から損害賠償を求める民事訴訟を起こされる可能性があります。
解決には多大な時間と費用、そして精神的苦痛が伴います。
最悪の場合、法人であれば1億円以下の罰金という厳しい刑事罰が科されるケースすらあるのです。
リスク4. 【社会的信用の失墜】条例違反による摘発
シナリオ
近所の公園でテスト飛行。
管理者から注意を受け、条例違反で警察へ通報される。
法律だけでなく、都道府県や市町村が定める「条例」も、ドローン飛行を規制する重要なルールです。
特に、多くの人が利用する公園や公共施設では、条例でドローン飛行が全面的に禁止されているケースが少なくありません。
「知らなかった」では済まされません。
条例違反が報道されれば、あなたの名前や所属が公になり、社会的な信用を一瞬で失うことになります。
「軽い気持ち」が招く最悪の結末
これらのリスクは、決して他人事ではありません。
無許可飛行は、あなたを「賠償金を抱える債務者」に、「前科を持つ犯罪者」に、そして「他人の人生を侵害した加害者」に変えてしまう可能性を秘めています。
これらの結末を避ける唯一の方法は、面倒でも、誠実に手順を踏んで許可を取得することです。
まとめ:許可申請を「武器」に変える最終確認リスト

ここまで読み進めたあなたは、もはや単なるドローン愛好家ではありません。
安全とルールを尊重し、社会と共存する真の「ドローン操縦者」としての第一歩を踏み出しました。
この記事で解説した全ての要点を、あなたが現場で使える「最終確認チェックリスト」としてまとめました。
撮影計画を立てる際、そして許可申請を行う前に、必ずこのリストで一つずつ確認してください。
このチェックリストを武器に、自信を持って、素晴らしいドローン撮影に臨んでください。