ドローンのレベル飛行とカテゴリー飛行! 申請許可前に知っておくべきこと
ドローンのニュースを見ていると「レベル○○飛行」という言葉を目にしたことありませんか?
同じような言葉でドローンを勉強している人であれば、「カテゴリー○○飛行」と聞いた人もいるでしょう。
これらはドローン飛行の許可申請において、必要な判断基準として分類されています。
ドローンを活用する為には、必要な言葉であり、飛行レベルやカテゴリー飛行の理解ができていないと航空法に違反してしまう場合があります。
飛行レベルやカテゴリー飛行の理解にあまり自信がない人は、必ず最後まで記事を読んで、正しく理解しましょう。
この記事で解決する悩み
- 特定飛行とは?
- カテゴリーってなに?
- レベルってなに?
- 2つの違いは?
- 国家資格との関係は?
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特定飛行とは
「カテゴリー飛行」や「レベル飛行」の解説の前に、ドローンを飛ばす為の基本的なルールである「特定飛行」について理解しておく必要があります。
以下の図のようにドローンには、飛行が禁止されている空域と飛行方法があります。
飛行が禁止されている空域
飛行が禁止されている方法
これらの航空法で禁止されている飛行を、航空局の許可を得て行うことを「特定飛行」と呼びます。
それでは、カテゴリー飛行とレベル飛行の違いを解説していきましょう!
カテゴリー分類とは?
カテゴリーとは、飛行のリスクに応じて3つに分類されたグループのことを指します。
カテゴリーは下記の3つに分かれています。
分類 | 内容 |
---|---|
カテゴリーⅠ | 特定飛行に該当しない飛行 |
カテゴリーⅡ | 特定飛行を立入管理措置を講じて行う(第三者上空を飛行しない) |
カテゴリーⅢ | 特定飛行を立入管理措置無しで行う(第三者上空で行う) |
さらに、カテゴリーⅡは2つに分類されています。
- カテゴリーⅡB
- カテゴリーⅡA
あなたの予定している飛行方法が、どのカテゴリーに該当するかの判断基準が、国土交通省によって発表されています。
それぞれのカテゴリーについて、実際に個別申請した実例も含めて紹介していきます。
カテゴリーⅠ
カテゴリーⅠ飛行は特定飛行に含まれず、特別な許可を必要としません。
例
- 屋内での飛行
- 人が入ることができず、近くに建物などが、何もない海や山や湖での飛行
- 30m以下の紐で係留した場合の飛行
屋内で行うスクールは、特定飛行ではないということですね!
特定飛行にならない場合は、航空局への許可申請は必要ありません。
ただし、機体登録は必要なので注意しましょう。
カテゴリーⅡB
カテゴリーⅡBとは、特定飛行において、立入管理措置を講じた上で、以下の飛行方法が該当します。
「立入管理措置を講じる」とは「第三者上空を飛行しない」ということです。
- 人口密集地区(DID地区)での飛行
- 夜間の飛行
- 目視外飛行
- 人・物から30m以内の飛行
- 上記の飛行であって使用機体が25kg以下のもの
これらの飛行がカテゴリーⅡBに該当します。
カテゴリーⅡB飛行する為には、航空局から許可を得る必要がありますが、業務で使う場合は、年間を通して許可を取得することができます。
「年間で許可を取得する」ことを「包括申請」と言います。
「夜間の飛行+目視外飛行」のように、重複する場合は包括申請だけでは飛行できません。
飛行条件にあった個別申請が別に必要です。
許可を取得する際には「飛行マニュアル」を添付します。
国交省が作成した「標準マニュアル」を使うことが多いですが、必ず熟読するようにしましょう。
例
- 屋根の点検(人・物30m以内、目視外)
- 夜景の撮影(夜間飛行)
- 街中の河川敷の飛行(人口集中地区の飛行)
カテゴリーⅡB飛行の実例
こちらの画像が示すのは、夜間での飛行です。
※夜間とは日没から日の入までの時間帯のことを言います。
「夜間飛行」は航空局から許可を取得する必要があり、以下のことを守らなければいけません。
- 目視外飛行はしない
- 人口集中地区では飛行させない
- 高度と同じ半径に第三者が立ち入らないようにする
- 補助者を配置する
守ることがたくさんありますね
カテゴリーの数字が上がるにつれて必要なことが増えていきますので、しっかり確認しましょう。
カテゴリーⅡA
カテゴリーⅡAとは、立入管理措置を講じた上で、以下の飛行方法が該当します。
- 空港周辺
- 150m以上上空
- イベント上空
- 危険物輸送
- 物件投下
- 25kg以上の機体の飛行
これらの飛行は、基本的に、期間や日時、飛行経路を指定して、航空局から許可を取得する必要があります。
空港周辺や150m上空などは、別途、関係する空港や航空事務所などと調整が必要なケースがあります。
例
- 農薬散布(危険物輸送・物件投下)
- マラソン大会の撮影(イベント上空)
- 高高度からの空撮(150m以上上空)
カテゴリーⅡA飛行の実例
この写真は高度2,000mから撮影したものです。
150m以上上空に該当するので、個別で許可を取得する必要があります。
高高度の飛行許可を取得するには、下記の調整が必要です。
- 周辺の空港や自衛隊基地、民間の飛行訓練施設との調整
- 飛行日時の指定
- 海抜高度の提示
- 飛行空域の緯度経度の提示
難しそうですね。
飛行方法や空域によって、必要な許可や申請に必要な情報が異なるので、よく調べるか、専門家に聞きましょう。
カテゴリーⅢ
カテゴリーⅢ飛行は、特定飛行の一部で、立入管理措置を行わず第三者上空を飛行する飛行を指します。
カテゴリーⅢ飛行を行う場合は、以下の要件を満たす必要があります。
- 一等無人航空機操縦士の技能証明の取得
- 第一種機体認証を受けた機体を使用
- 飛行の形態に応じたリスク評価結果に基づく飛行マニュアルの作成
これらを満たした上で、許可を取得します。
通常の許可申請と違い、20開庁日前までに許可申請が必要です(基本は10開庁日前)。
さらに飛行を行う日の1開庁日前までに、飛行内容を地方航空局長等へ通知する必要があります。
これらのように、カテゴリーⅢ飛行は通常の飛行許可と違った、特別なことが発生します。
2024年4月時点で第一種機体認証を受けた機体は1機種しかないので、カテゴリーⅢ飛行はごく一部の事業者向けの飛行です。
今後、物流などのドローンの可能性を広げる為に必要な飛行方法と言えるでしょう
続きまして、飛行レベルについて解説します!
飛行レベルとは?どんな飛行なの?
飛行レベルとは、ドローンの飛行形態によって分類したものです。
ドローンの社会実装のロードマップとして、下記のようにレベルごとに事業想定がされています。
内容 | 事業例 | |
レベル1 | 目視内で操縦飛行 | 橋梁点検等 |
レベル2 | 目視内で自立飛行 | 農薬散布、土木測量等 |
レベル3 | 無人地帯での目視外飛行 | 輸送の実証実験 |
レベル4 | 有人地帯での目視外飛行 | 建設現場の測量等 |
ここでは各レベルについて紹介してきます。
レベル1
レベル1飛行とは、下記の条件で行われる飛行の事を言います。
- 目視内
- 操縦
見える範囲で行われる空撮、インフラ点検、農薬散布などが該当します。
レベル2
レベル2飛行とは、下記の条件で行われる飛行の事を言います。
- 目視内
- 自動操縦
測量や自動操縦の農薬散布、ソーラーパネルの点検などが該当します。
レベル3
レベル3飛行とは、下記の条件で行われる飛行の事を言います。
- 無人地帯
- 目視外
- 自動操縦
- 立入管理措置あり(補助者や看板の設置、道路横断時の一時停止など)
レベル3飛行は第三者が存在する可能性が低い場所(山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地・ゴルフ場など)の飛行を想定したものです。
離島や山間部への荷物配送や長大なインフラ点検、測量などが該当します。
レベル3.5
レベル3.5飛行は、下記の条件を追加することで、レベル3飛行の立入管理措置を撤廃した飛行の事を言います。
- 国家資格の取得
- 保険への加入
- 歩行者などの有無を確認できるカメラを有している機体
2023年12月に、無人地帯の目視飛行における事業化を促進する為に新設されました。
これはレベル3飛行の派生形で、申請には一例として下記のような要件が含まれています。
- 第三者の立入の有無を常に検知できる
- 飛行経路周辺の気象状況を把握できる
- 計画上の飛行経路との差を把握できる
- すべての経路に緊急時の手順と着陸場所を予め定める
など。
レベル3.5は空撮時に補助者なしで目視外飛行が可能になったと誤解している人が多いと感じてます。
しかし、実際はこのような飛行には別途申請が必要ですので注意が必要です。
レベル3.5について詳しく解説しています。最新のレベル飛行に知りたい人は下記の記事を読んでみてください。
▶︎ドローンのレベル3.5飛行とは?他レベルとの違いやできる飛行などを解説
レベル4
レベル4飛行とは、下記の条件で行われる飛行の事を言います。
- 有人地帯
- 目視外
- 立入管理措置なし
市街地などのエリアで、目の届かない範囲まで飛行することを言い、物流や警備などが該当します。
2022年12月に行われた法改正により、下記の制度が整備されたことでレベル4飛行が可能になりました。
- 国家資格制度 一等・二等
- 機体認証 一種・二種
- 運行ルール 飛行通報・飛行日誌・インシデントの報告
レベル4飛行によって以下のような未来が実現します。
国家資格はこの為にできたんですね!
カテゴリー分類と飛行レベルの違い?
カテゴリーとレベルは以下のような違いがあります。
カテゴリー | リスクについて分類されたもの | 特定飛行・立入管理措置 |
レベル | 飛行方法によって分類されたもの | 操縦方法・飛行地域(第三者の有無) |
カテゴリーという大きな枠の中で、飛行方法によってレベル分けがされているといったイメージです。
レベル3.5飛行を目指すなら国家資格必要
上記にて紹介したレベル3.5飛行以上は国家資格の取得が必須条件となっています。
申請に必要な要件などもしっかり理解する必要があるので、国家資格の学科程度の知識は最低条件として必要です。
国家資格の取り方
国家資格の取得には、以下の3つの試験に合格する必要があります。
- 学科試験
- 実地試験
- 身体検査試験
学科試験はCBT試験と呼ばれる試験を受ける必要があります。
実地試験は以下の2通りの方法があります。
- 登録講習機関と呼ばれるスクールに通う
- 試験のみ開催している一発試験で取得する
身体検査は、取得する国家資格の内容によって変わりますが、基本的には自動車の運転免許証の提示だけで済みます。
国家資格の取得方法については、以下の記事で詳しく説明していますので、国家資格を目指す人はぜひご覧ください。
▶【合格への近道】ドローン国家資格の試験内容から免許取得まで!合格者が全て語る
国家資格取得の対策
国家資格の試験対策は、ドローンの経験者であれば独学でも可能です。
スクールに通ると高額になってしまう場合もありますが、費用を抑えて受験することも可能ですので、以下の記事をご参照ください。
▶ ドローン国家資格は独学でも可能!隠れたリスクは理解している?
同じ志の仲間を作ろう
いざ国家資格の取得を目指したとしても、モチベーションが続かずに断念してしまうケースがたくさんあります。
同じように、ドローンの資格取得を目指したり、ドローンを使った事業に挑戦しようとしている人が周りにいると、モチベーションも維持しやすいでしょう。
こちらのコミュニティは有料ですが、その分、本気度の高い人達が集まっていますので、チェックしてみてください。
▶ 詳しくは、 ドロビジ こちらからチェックください。
実際に広く事業展開されている方や、行政書士の先生などの専門家も多数在籍しています。
オンラインはもちろんオフラインの勉強会などもあるので、一人で進むより確実に成長できる場となっています。
まとめ
ドローンはまだまだ成長産業ですので、これからも進化していくでしょう。
その中でもカテゴリーとレベルと言う単語は、一つの基準となる単語として話されるので、よく理解しておきましょう。
特にカテゴリーは、許可申請をする際にもでてきますので、ドローンを扱う人にとってはより身近なものです。
今後もドローン国家資格に関する情報や、ドローンに関する有益情報を発信していくので、ブックマークしておいていただければ幸いです。