ドローンとラジコンの違いとは?法律や用途の違いなど徹底解説
ドローンラジコンの違いがよくわからず、その違いに疑問を感じていませんか?
この記事では、ラジコンに興味のある方やラジコン経験者の方々に向けて「ドローンとラジコンの違い」について解説しています。
特に、法律やルール上の違いや操縦方法の違い、用途の違いについて詳しく解説しています。
このサイトではドローンに関する情報を発信し、読者の相談を受けて、悩みを解決してきました。
この記事を読めば、違いを理解した上で、自分にはドローンとラジコンのどちらが合っているか、判断できるようになります。
ドローンとラジコンの違いを理解して自分に合う方を選んでみよう!
ドローンとラジコンの法律上の違いは?
ドローンやラジコンに関する法律は大きく2つあります。
- 航空法
- 小型無人機飛行禁止法
2つの主要な法律において、ドローンとラジコンの定義や規制に違いがあるのかどうか、詳しく解説していきます。
法律上の定義はほぼ同じ
ドローンとラジコンの法律上の定義はほとんど同じです。
航空法ではドローンもラジコンも「無人航空機」に該当します。
規制対象となる「無人航空機」の定義は以下の通りです。
航空法第11章の規制対象となる無人航空機は、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(100g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」です。いわゆるドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
引用:飛行ルール(航空法第11章)の対象となる機体
小型無人機飛行禁止法ではドローンとラジコンいずれも「小型無人機等」に該当します。
規制の対象となる「小型無人機等」の定義は以下の通りです。
小型無人機を飛行させること
・無人飛行機(ラジコン飛行機等)
・無人滑空機、無人回転翼航空機(ドローン等)
・無人飛行船等
つまり、小型無人機飛行禁止法においてドローンとラジコンは同じ扱いと考えて良いでしょう。
▶ 小型無人機等飛行禁止法における規制の概要
航空法は100g以上のドローンとラジコンが規制対象
無人航空機(ドローンとラジコン)は100g以上の重量を持つ機体が航空法の規制対象となります。
近年、無人航空機(ドローン・ラジコンなど)の利活用が急増している一方、事故や、無許可で飛行させる事案が頻発しています。このような状況を踏まえ、2022年6月20日に登録制度が施行されました。2022年6月20日以降、無人航空機の登録が義務化され、登録されていない無人航空機を飛行させることはできません。
引用:無人航空機登録ポータルサイト
規制対象となる無人航空機を飛ばすためには、航空法で定められたいくつかのルールを遵守しなければなりません。
一つは航空法により機体登録が義務化されたことです。
重量100g以上のドローンはすべて機体登録をしなければなりません。
▶ 【義務化】ドローンの機体登録とは?必要性と手順を詳しく解説!
もう一つは飛行方法や、飛行場所によって飛行の許可または申請が必要となることです。
小型無人機飛行禁止法はすべてのドローンとラジコンが規制対象
小型無人機飛行禁止法で定める小型無人機(ドローンとラジコン)は航空法と異なり、すべての機体が規制対象となります。
定められた飛行禁止場所で小型無人機を飛ばすと、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
【規制対象施設】
・国の重要施設
・外国公館
・防衛関係施設
・空港
・原子力事業所
対象施設についてさらに詳しく知りたい方は下記のページをチェックしてみてください。
▶ 小型無人機等飛行禁止法に基づく対象施設の指定関係
国家資格は受験する試験が異なる
2022年12月に無人航空機に関する国家資格として「無人航空機操縦者技能証明制度」が開始されました。
無人航空機はドローン、ラジコンどちらも該当しますが、無人航空機の種類としてはそれぞれ異なります。
国家資格の試験として、「学科試験」と「実地試験」があります。
いずれもドローンを操縦するのか、ラジコンを操縦するのかによって受験する種類や試験内容が異なります。
国家資格で定める無人航空機の種類
- 回転翼航空機(マルチコプター)=ドローン操縦者向け
- 回転翼航空機(ヘリコプター)=ラジコン操縦者向け
- 航空機 =ラジコン操縦者向け
受験する際に種類を選択する必要があるので注意しましょう。
無人航空機の種類については、下記の資料内「4.1 無人航空機の機体の特徴(機体種類別)」にて紹介されています。
▶ 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版)
ドローンとラジコンの開発背景、機能性の違いや名前の由来は?
開発背景や機能性において、ドローンとラジコンは大きく異なっています。
ドローンとラジコンの大きな違いは「飛行の安定性」や「操縦の難易度」です。
2つの違いをわかりやすく車にたとえると、
- ドローン:安全を支援するシステム(ASV)搭載の自動車
- ラジコン:マニュアル自動車
というイメージですね
それぞれの違いや名前の由来について詳しく解説していきます。
ドローン | ラジコン | |
開発背景 | 軍事目的で開発 | 趣味として開発 |
操縦タイプ | 自律飛行や自動操縦が可能 | 手動操縦のみ |
名前の由来 | 英語で雄バチという意味 | ラジオコントロール(RC)の略称 |
操縦の難易度 | 簡単 (自律飛行や自動操縦が可能で、初心者でも扱いやすい) | 難しい (手動操縦のみで、繊細な操縦技術が求められ、かなりの練習が必要) |
自動車でたとえると | ASV搭載自動車 | マニュアル自動車 |
ドローンの場合
ドローンは軍事目的で使用されたのが始まりです。
第二次世界大戦中に無人爆撃機として開発されました。
ドローンの名前は英語で「雄バチ」という意味です。
名前の由来は諸説ありますが、ドローンの羽音が雄バチと似ていることから名付けられたと言われています。
ドローンはラジコンと比べると高性能な機能を備えています。
高性能な機能としては下記の通りです。
- ビジョンポジショニングシステム
- ジャイロセンサー
- 衝突回避システムといった自動制御システム
が搭載され、自律飛行が可能です。
飛行をサポートしてくれるため、初心者でも少し練習すれば、ドローンを安定して飛ばせるようになります。
ラジコン経験者は、ドローンの安定した飛行に驚きます!
近年は小型で高機能かつ安価なドローンが普及し、ラジコン世代はもちろん若い世代でも新たに購入、趣味やビジネスとして始める方が増えてきています。
ラジコンの場合
ラジコンは「ラジオコントロール」の略称です。
日本では1955年に増田屋コーポレーションという玩具メーカーが命名したのが始まりです。
ラジコンは商標登録されているため、「RC」と呼ばれることも多くあります。
ラジコンは無線操縦できる模型を総称しています。
たとえば、ミニヘリコプターや航空機、ミニカーなどがラジコンに該当します。
1980年代には当時の子どもたちの間でラジコンが一大ブームを巻き起こしました。
ドローンとの大きな違いは手動操縦である点です。
ラジコンは、すべて手動で操縦しなければならないため、技術がないとそもそもうまく離陸させられません。
ラジコンで安定して空中へ飛ばすためには繊細な操縦が求められ、しっかりとした技術を身につける必要があります。
ラジコンを安定して飛ばすためには、かなりの練習量が必要です。
ドローンとラジコンの用途の違い
ドローンとラジコンの違いとしてわかりやすいのが、「用途の違い」です。
ドローン | 自律飛行が可能、幅広い分野で活用されている。 |
ラジコン | 手動操作のみ、コストがかかるため、用途が限定的 |
それぞれの用途について詳しく紹介します。
ドローンの場合
ここではドローンが、実際に活用されているシーンを紹介します。
現在、ドローンが活用されている場面は下記の5つです。
- 空撮
- 点検
- 測量
- 農業
- 物流
空撮
ドローンによる空撮の魅力は、普段は目にしない角度からの風景や迫力ある映像を撮影できることです。
山や川、海といった自然風景をダイナミックに撮影したり、観光名所やビル・商業施設といった建物を上空から撮影できます。
最近では、エントリーモデルでも非常に高性能なドローンです。
ドローンで撮影した映像を駆使して、素人でもプロ顔負けの動画を制作する人もいます。
点検
点検業務においてドローンの活用事例も増えてきています。
ドローンによる点検は遠隔で操作することにより、人が立ち入れない場所や危険な場所でも効率的に作業できる特徴があります。
近年では、高度経済成長期に建設された道路や橋梁、トンネルなどの老朽化により点検需要が高まっています。
これまでは労働人口の減少による人手不足や大規模な点検のため現場で長期間にわたり作業しなければならないといった課題がありました。
ドローンの活用により、少人数で対応でき、作業時間を短縮できるなど今後も点検分野での活用や重要性は高まっていくでしょう。
測量
測量分野でもドローンの活用事例が増加しています。
従来は人により数千点もの地点を測量しており、時間も人手も必要でした。
また、自然地形の測量は崖地や斜面といった危険な場所で作業しなければなりません。
ドローン測量のおかげで、数週間かかる作業が数日に短縮され、事故リスクを減らして安全に作業が行えるようになりました。
ドローン測量により精度の高い3Dデータ測量もできるようになりました。
ドローンの導入は測量分野においてまさに大革命といえるでしょう。
農業
農業分野では、農林水産省が2019年に「農業用ドローン普及計画」を定め、ドローンの活用の普及に努めています。
ドローンの活用事例として農薬散布が有名ですが、それ以外にも活用事例があります。
農業分野でのドローンの活用事例
・農薬散布
・肥料散布
・播種
・受粉
・農産物等運搬
・ほ場センシング
・鳥獣被害対策
農業分野ではドローンの活用を推進していく動きがあるため、今後はさらに活用事例が増えていくことでしょう。
物流
ドローンの市場規模の中でも特に伸び率が期待できる分野です。
しかし、物流分野でのドローンの活用事例はまだまだ少ないです。
市場規模の中でも物流が伸びる理由として、国内の物流問題の解決にドローンの活用が期待されているからです。
担い手不足問題や過疎地域での物流サービスの持続可能性の確保といった深刻な問題があります。
最近だと、2023年12月にレベル3.5飛行制度が新設され、過疎地域でのドローンによる配送サービスができるようになりました。
アメリカではすでにAmazonや ウォルマートといった大手企業が一部地域で本格的にドローンによる配送サービスを実施しています。
今後は日本でも更にエリアの拡大や配送商品や配送量が増えていくことが予想されます。
産業別に活用されているドローンの情報をまとめている記事があります。
ドローンの活用についてより、詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。
ラジコンの場合
ラジコンは元々ホビー用として普及しており、手動による操作のため、用途としては限定的です。
ラジコンの主な用途は空撮と農薬散布の2種類あります。
ラジコンを使った空撮
ラジコンの空撮として一眼レフカメラを機体に搭載して空から撮影する方法があります。
かつてはテレビや映画のロケーション撮影として利用されることもありました。
しかし、手動操縦により飛行を安定させながらカメラワークを行うのは至難の業です。
ドローンによる空撮が普及したことによりラジコンによる空撮は減少傾向にあります。
ラジコンを使った農薬散布
ラジコンヘリによる農薬散布も全国各地で活用事例があります。
農薬散布用のラジコンヘリは、とても高価な機体です。
個人で所有する人は少なく、自治体や組合に依頼して専門業者が農薬散布を行っていました。
農薬を担いで田畑を歩いて散布する従来の方法と比べるとメリットがあります。
作業時間が大幅に短縮され、重労働しなくて済みました。
一方で、散布できる農薬は依頼する側で指定されてしまうといったデメリットもありました。
ドローンによる農薬散布が普及すると、個人で機体を所有する方も増え、コストも安く済むためラジコンヘリによる農薬散布利用は減少傾向にあります。
ドローンがおすすめな人
ドローンとラジコンの違いについて特徴をふまえた上でどのような人にドローンがおすすめなのでしょうか。
ドローンがおすすめな人を大きく3つに分けて紹介します。
空撮を楽しみたい人
空撮を楽しみたい人にはラジコンよりドローンがおすすめです。
ドローンによる空撮は安定した飛行と高性能な機能により滑らかで綺麗な映像を撮影できるのが魅力です。
映像制作の案件として、テレビや映画のロケーション撮影や結婚式のオープニングムービー撮影などがあります。
不動産業者が販売する物件を上空から撮影してほしいという依頼もあります。
空撮料金は数万〜数十万まで幅広く、依頼主の内容によって様々です。
撮影だけではなく、動画編集も併せて受注すると報酬が高くなります。
ドローンを使ったビジネスがしたい人
ドローンの用途でも紹介したとおり、幅広い分野でのドローンビジネスが期待されています。
ドローンで農業に貢献
農家の方であれば、スマート農業へ向けた活用が期待できます。
農薬散布にドローンを活用することで、重い農薬タンクを担いで田畑に入らずとも作業でき、時間も大幅に短縮できます。
以前からラジコンヘリによる農薬散布はありましたが、機体自体が大変高価なため、専門家に依頼して実施していました。
ドローンは個人でも購入できる料金で、自動操縦もあるため自分で農薬散布することもできるようになります。
農家の方であれば、副業として近隣農家の農薬散布を手伝って報酬をもらう方法もあります。
ドローンで農薬散布を行いたい方は、コースを専門に設けているドローンスクールもあります。
スクールの説明会や体験会を通して情報を収集してみると良いでしょう。
ドローン国家資格ナビでもスクールの紹介しています!
ドローンで物流課題に貢献
ビジネスをしたい人にとってドローンの物流サービスは大いにチャンスがあります。
ドライバー人材不足や過疎地域での持続的な配送が困難といった深刻な問題の解決策として期待されています。
ドローン市場でも物流分野の伸び率が高く、国も物流分野においてドローンの活用を推進していく動きがあります。
今のうちにドローンの物流分野に参入できるように準備をしておくと良いでしょう。
準備として、国家資格を取得したり、ドローンスクールの物流コースを受講したりするのがおすすめです。
急拡大している業界に関わりたい人
ドローンの市場規模は年々伸びており、2023年度は3,854億円と前年度比23.9%増加しています。
2028年度には9,054億円まで拡大すると予想され、日本のコミック市場を超える規模になる見込みです。
国内のドローン市場規模におけるサービス市場の分野別市場規模の予測をみてみると、特に物流、点検分野の伸び率が高いことがわかります。
このように、ドローン市場は急拡大している業界であり、参入するなら今が絶好のチャンスといえるでしょう。
ドローンの業界を調べていると、「ドローン」と「UAV」という言葉が出てきます。
似ているようで、似ていない言葉。この違いが気になる人はぜひ下記の記事もチェックしてみて下さい。
▶︎ドローンとUAV?違いと、それぞれの用途を詳しく解説します!
ラジコンヘリコプターがおすすめな人
ラジコン経験がある方の中にはドローンと比べても「やっぱりラジコンが良い」と思う方もいることでしょう。
ラジコンヘリコプターがおすすめな人について大きく分けて3つ紹介します。
高度な操作技術を求めたい人
操作技術を極めたい人にラジコンはおすすめです。
前述したように、ラジコンは手動操作のため、繊細な操縦技術が求められ、思い通りに飛ばすためにはかなりの練習が必要です。
手動での操作の分、自由度が高く、アクロバティックな飛行もできるのが魅力でもあります。
空にロマンを求めて、自由自在にラジコンを飛ばしたい、高度な操作技術を極めたい方にはおすすめです。
競技で高みを目指したい人
日ごろの操縦練習の成果を発揮したい方や何かを目標にして取り組みたい方は競技会に出場するのがおすすめです。
ラジコンヘリコプターの競技会は全国各地で開催されています。
多くは種目が設けられており、競技中に指定された操縦を正確に行えるか競います。
難易度によって初級、中級、上級など等級が分けられています。
競技会はどんな内容があるのか、種目の一例を紹介します。
競技会種目の例
【初級】
・垂直離陸
・前進・後退
・90°ピルエット
・ホバリング(5秒)
・着陸
【中級】
・バーティカルボックス
・旋回上昇
・水平飛行
・旋回降下着陸
【上級】
・360°ピルエット
・バーティカルトライアングル
・ストールターン
・ロール
・ループ
・進入着陸
ハマる人続出!?FPVドローンの選択肢も!
ドローンよりラジコン派の方にもFPVドローンはおすすめです。
FPVドローンとは「First Person View(一人称)」の略で、専用ゴーグルを付けてリアルタイムで手動操作を行うという特徴があります。
FPVドローンもラジコンと同様に手動での操縦が特徴です。
アクロバティックな動きなど自由自在な操縦を楽しめます。
ラジコンとの大きな違いは自分がドローンに乗っているような感覚で操縦できる点です。
時速100㎞超の速さで飛ばせることもでき、没入感とスリル満点の飛行体験ができるのも魅力です。
速さを競い合うドローンレースへもあるので、ドローン操縦の腕試しがしたい方には特におすすめです。
しかし、FPVドローンを始めるには申請や免許取得が必要なので注意してください。
申請 | 国交省への目視外飛行の承認申請 |
免許取得 | 「第四級アマチュア無線技士」、「第三級陸上特殊無線技士」など |
無線免許の取得はハードルが高く、まずは体験してみたいという方には、FPVドローンのシミュレーターをまずは体験してみるのも一つです。
無線免許もドローンも要らず、パソコンがあればFPVドローンの操縦体験ができます。
「FPVの始める方法がわからない」という声もたくさんありましたので、FPVの始める方法を記事にしました。
FPVが気になる人はこちらの記事もぜひ参考にしてみて下さい。
▶︎FPVドローンとは?始め方から練習・撮影までを解説!初心者のための入門書
まとめ
ここまで、ドローンとラジコンの違いやおすすめな人について詳しく解説してきました。
いままでドローンとラジコンの違いがよくわからなかった方も、本記事を通して違いはもちろん、どっちが自分に向いているのか理解していただけたのではないでしょうか。
ドローン市場は今後も急拡大が期待できます。
趣味として楽しむことはもちろんですが、収入を得る手段としてもぜひ今のうちに準備を進めていきましょう。
ラジコンやドローンを始めたい方は、今後必要になる国家資格の取得を検討してみると良いでしょう。
FPVドローンを始めたい方はフライトシミュレーターの体験や無線免許の取得を検討してみてください。
今後もドローン国家資格に関する情報や、ドローンに関する有益情報を発信していきますので、ぜひチェックしてみてくださいね。